内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ボケ
2020.1.29 Wed
車の免許証更新のときの認知症テストで、私は高得点を取ったと自慢していたけれど、ボケは確実に忍び寄っているらしい。
今日、本を買いに行った。キャッシュレスで……と、カードを店員さんに渡すと、店員さんはカードを機械にスルッと通した。そして「あれっ?」
「これ、通りませんね」と困った顔をしている。
私は「いつもこれで買い物をしているんですけど」と、機械の落ち度だと言わんばかりの態度をとっていた。
店員さんが隣のレジにいる先輩らしき人に「これ、通らない……」と聞いている。
「あ、これ……」。キャッシュカードだった。そう言われても私は一瞬理解できなくて「いつもこのカードで……」と言いながら、その時自分の勘違いに気がついた。
「ごめんなさい! 私、勘違いしてました。お手数かけてごめんなさい」と恥ずかしかった。
クレジットカードとキャッシュカードを勘違いするなんて、なんとアホなことだ。
アホと言えば、ボケーッとテレビを見ていた。チャンネルを変えようとして、空調のリモコンを握っていた。「あれっ?バカじゃないの?」と自嘲しながら空調を切ろうと、ケータイを握っていた。
確実に私のボケは進んでいる。