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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

詐欺

2020.7.26 Sun

引き出しの中のがガラクタが、あまりに多くなっていたので思い切って片付けることにした。
一応取っておこう……と保存していたものがあまりに多くて、私の『断捨離』下手を笑うしかない。『訴訟報告書』なんて、平成5年2月12日発送のハガキまで出てきた。どんな文章か、全文を報告すると……。

お客様コードナンバー  (6桁の数字が書いてある)
この度、貴殿がご利用されました商品販売会社様より(民法643条に基づき)受任した事を、取り急ぎ報告します。
貴殿が以前購入されました「美容関連商品」の件で、すでに裁判所への提訴が完了していますので、裁判所からの出廷通知通達後、指定の裁判所への出廷となります。尚、出廷を拒否されますと(民法573条に基づき)原告側の主張を全面的に認めた事になり、自動的に敗訴になりますので、必ず出廷して下さい。
又、裁判取り下げを希望される方に関しては、下記の連絡先に裁判取り下げ最終期日の2月18日(金)迄に連絡下さい。
財団法人扶助協会  ○○法律事務所 担当○○
受付番号  03ー○○○○ー○○○○(←たぶん電話番号)
担当・佐々木(と住所が書いてある)
相談・受付9:00~18:00 定休日(土・日・祝日)
※この通知は請求書ではありませんので、裁判取り下げ以外の、問い合わせ等のご連絡はご了承下さい。

このハガキが届いたときは、確かに焦った。でも私は美容関連商品なんて、意味が分からないし買った覚えもない。それに商品販売会社とあるだけで、その会社名が記されてない。裁判所から出廷の連絡もない。
よく読みなおしてみると、文章自体が変だし、とくに最後の一行の文章がおかしい。
そしてハガキの発送日から、裁判取り下げをお願いする日にちまで6日しかない。
当時それほど問題視されてなかった詐欺問題だったけれど、早々と私はターゲットにされていたのだった。罠に引っかけるには、疑いながらも焦らせる作戦だなと思ったが、当時はまだ私はそれほど高齢ではなかったけれど(少し高齢?)、それでも多少ドキドキと焦っている私がいた。
いまでも時々お金や貴金属に関する儲け話の電話は来る。私はお金儲けや貴金属などには、むかしから興味がなかったけれど、私が詐欺にかからないという保証はない。
数字としては私も後期高齢者(でも私は永遠の5才ならぬ、永遠の43才だけど)の仲間入りをしたいま、どんな詐欺に引っかかるのだろうか。
詐欺師って、頭がいいらしい! 誰だって用心しているのだろうけど、詐欺にひっかかるときって、多分一瞬の判断ミスで、あとから思うと魔が差した……としか言いようがないのだろうか。
コロナ感染の大変な今、保証金の振り込みがあるからキャッシュカードのナンバーを……と、それで被害にあった人もでているらしい。
この世に甘い話は絶対にないから。

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