内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
春が来た
2020.5.13 Wed
浅間山の雪が完全に消えるのは、大抵がゴールデンウイークの後だ。
ことしも「あと少し!あと少し!」と思っているうちにゴールデンウイークは終わった。
今朝、浅間山頂の沢だか何だかに、一筋心細そうに残っていた雪も、たぶん今日1日で消えてしまうのだろう。
浅間山の春はこれからだろうけど、軽井沢の春は真っ盛り。
カラマツの針のような葉が、モミジの小っこい葉が、それぞれ生意気にも『葉』らしくなってきた。カラマツの葉はツンツンし、紅葉も赤ちゃんのお手々になっている。
そう言えば夫を介護しているときの東京の春の訪れは、タクシーで通り過ぎる外苑前のイチョウ並木で感じていた。
イチョウの枝先が何となく緑っぽくなってきたなと思っているうちに、柔らかく芽吹き始めて、そのうちに小っこいくせにイチョウの葉っぱの形になり、初夏のころには立派な葉っぱになっていた。
冬のあいだ我が家の森から遠く見えていた八ヶ岳も、軽井沢の春の訪れとともにもう見えなくなってしまった。
この間まで木の葉隠れに見えていた八ヶ岳の雪が溶けるのは、まだ当分先なのだろうなと、私は暖かな日差しを浴びて漂っている。
それにしてもコロナが早く終息しないかなァ……って、ゴールデンウイークが終わって、あちこちに人が出始めたということは、終息はまだ先か!
残念!