内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

トム＆ジェリー？

2020.8.19 Wed

今どきの軽井沢のスーパーマーケットは、信じられないほどの混み具合だ。「県を跨いでの外出は控えて下さい」というお願いもなんのその、日本全国の車のナンバーを見る事が出来る。
「へー！　こんなナンバーもあるんだァ！」と、勉強になるかも……。
そういうことで、私は高齢者だし感染が怖い。できることなら買い物に行きたくないと言ったら、大阪に住む妹からお惣菜を送って来るようになった。
先日も難波高島屋のお惣菜がどん！と届いた。マンゴーのゼリーまで入っている。そしてリボンのついた可愛い小箱があった。箱に『和のなごみ』と書いてあった。開けて見るとピンク色の梅の形の、ゼリーを砂糖で包んだような和菓子とふんわりと柔らかなもの……。タオルのハンカチだった。
その組み合わせに？？と思ったが、『梅』のほうを冷蔵庫に入れてハンカチはバッグにしまった。
そして……。
何か甘いものが欲しくなって、冷蔵庫の『梅』を食べることにした。
「？」何だか石けんのような匂いがする。しかし食い意地のほうが勝っていて、そのままかじった。「ウンギャー！！」石けんだったのだ。
慌てて洗面所に走って「ペッペッ！」唾液というより石けん泡を吐き出して自己嫌悪。私はジェリーか！
包みを見ると、ちゃんと『石けん』と書いてあるではないか。おまけに「椿油配合」だって。
チーズと間違えて石けんを囓り、口から泡を吹くジェリーを思い出して大笑い。妹に言うと「この食いしん坊！　アホか！」。
「なにが悪いって、食べ物の中に『異物』を入れる方が悪い」と、泡を吹くジェリー状態を他人のせいにする、卑しくも恩知らずの私だった。