内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
エノキ茸
2020.11.6 Fri
エノキ茸には体脂肪吸収を抑える酵素があるそうだ。何グラム摂取したら何%の体脂肪が……って、その『何』という数字は覚えてない。とにかく太ることを抑えてくれるらしい。
もちろん私だって体重を落としたいけれど、この何年(この『何』の数字もテキトー)というものエノキ茸は食べてない。
何故かと言うと……。
長野県はキノコの産地だ。私はキノコ類が好きでよく食べた。
何種類(又『何』だ!)ものキノコを買って来てソテーにしたり、やはりナベかな? シイタケ・マイタケ・シメジ・エノキ……と、美味!美味!
松茸はそのシーズンしかないからシーズンを逃さず、でも高いからちょびっと!
そしてよく働いてくれる夫には、より多く?
しかしトシを重ねるに従ってエノキは食べなくなった。
何故かというと……。
ナベの時にエノキをシャキシャキ食べて「美味しいね」と夫に笑いかけたら、歯のすき間というすき間にはさまったエノキが『すだれ』状態。または『滝の白糸』状態。
顔を見合わせて微笑み合う老夫婦の『滝の白糸』状態だなんて、かなり怪談で、それ以来エノキを敬遠していたのだった。
しかしエノキをみじん切りにして密閉袋に入れ空気を抜き冷凍すれば、何にでも使えるとTVで知った。
そうか! 今度やってみよう。しかし……、こんどは食べたエノキが治療中のアマルガム(現在、歯の治療にアマルガムは使ってないそうで、コンポジ何とかというプラスチックを使っているとか)に見えてしまうかも。
トシを重ねるって、切ないね。