内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
もうすぐ……
2016.10.15 Sat
このところ目が覚めると、背中の筋肉(多分、背筋)が痛い。よく考えたら、多分夫の車椅子が変わったせいかもしれない。
「お尻が痛い」というので、クッションがより柔らかなものに変わったのだ。よりいい機種に変わったのだけど、多少重くなったような気がする。しかし夫の「お尻が痛い」のがなくなってご同慶の至りだ。
このところちょっと肌寒くて夫にカーディガンを着せ、膝掛けで膝を包んでおしゃべりをしながら散歩をした。
通りかかった他所さまのお宅の生け垣のサザンカが、葉っぱに隠れるようにして、まだ 固いけれどたくさんの蕾をつけていた。
「あらァ! サザンカだって。もうすぐそこに冬がきているのね」なんて言いながら、いつのまにか二人して、♪サザンカ、サザンカ咲いた道♪と歌い出していた(まだ咲いてないけれど)。
間違っても車椅子での二人の散歩のひとときに、♪愛しても愛しても…ああ人の妻♪は似合わないと思う(ご存知ない方に…『さざんかの宿』という演歌です)。
キンモクセイも散ったし、間もなくサザンカかァと、時間の流れをしみじみと噛みしめていた。