内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
聞き違い
2021.2.12 Fri
ほどほどの年齢になるまで、私は『赤いくつ』の歌を、♪ 赤い靴はァいてた 女の子ォ ヒージイさんにつれらて行っちゃった……♪と歌っていた。
アホは怖く思い込みは恐ろしいもので、♪ よこはばの波止場からァ ♪ だなんて、耳で聞いているにもかかわらず、女の子は曾祖父に連れられて、横幅の港から行っちゃったんだと思っていた。
そして大人になってからいつのころか、印刷された歌詞を見てガーン! ヒージイさんではなく、異人さんだった。横幅……って自分の体型じゃん!って。
その話をしたら、夫も長いことヒージイさんだと思っていたと大笑い。
いま同じ聞き違いをしている。
NHKの朝ドラ『おちょやん』の主題歌を聴いていて ♪ オレンジ色のクレヨンで描いた太陽だけ邪魔だ……♪ と思っていた。毎日、耳をそばだてて集中して聞いていたが、私には「太陽だけ邪魔だ」としか聞こえない。
しかし太陽が邪魔なんだったら描かなきゃいいじゃんと、ネットで調べたら「太陽だけじゃ、まだ足りない気がした……」だった。
たぶん作曲するときの符割りせいか、歌う時の息継ぎのせいか……、やはり私の加齢による耳の衰えかな?
そういえば昔、「弁慶が長いなぎなたを振り回した」というのを「べんけいが な、ぎなたをふ、りまわした」という言葉遊びがあったっけ。