内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
夢は夢
2021.5.17 Mon
郵船クルーズから、今年下半期のクルージングのスケジュール案内が届いた。
どのスケジュールも魅力的で、夫が存命だったら絶対!どれかに参加申し込みをしている……元い、私にさせている。
ほんとうにクルージングは楽しかった。ワールドクルーズを6回もだなんて、「あの夫婦、変!」と言われていたようだ。「夫婦が一つ部屋で3ヶ月も過ごすなんて、信じられない。自分たちだったら2日で別居」と、それは言い過ぎというものだ。でも私たちは仕事がら、部屋は一つではないけれど、いつもいっしょだったから。
あちらこちらの国で買ったおみやげは、帰国したら邪魔なものばかりだけど、一つ一つに思い出がよみがえる。
楽しかったいろいろを思い出しながら、スケジュール見ていたせいか夢を見た。
『飛鳥II』のタラップを、なぜか夫に肩を抱かれながら上がっていた。フィリピンクルーのホスピタルスマイルが懐かしい。その中の見覚えのあるクルーが私の荷物を受け取りながら「内田さまは、確か31歳になったのですね」と言った。夫はギョッ!としてニヤッと笑い、私はエヘヘとテレ笑いをしたところで目が覚めた。
ワールドはもう無理だけど、コロナが落ち着いたらまた飛鳥に乗ろうと思っていたら、横浜港を出港後に乗船客の一人にコロナ感染者が出たとのこと。船はそのまま横浜港に戻って旅は中止だって。
船側は万全な体制でお客を受け入れ、また乗船客にもちゃんとチェックしていただろうに。チェックしたときは陰性でも、感染してないとは限らない。
たった一人のために、乗船客全員に迷惑が……。
貧乏性の私は、もしその一人が私だったら乗船客全員のキャンセル料をどうしよう、お詫びをどうしようと想像してドキドキしてしまった。
やっぱりこれからも密を避け、マスク・手洗い・うがい・不要不急のそして仕事以外の外出の自粛等々、コロナ対策はしっかり守ろうと思った。『我慢』をするのは私一人ではなく、人間全員なのだから。