内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ぶり返し
2021.5.5 Wed
あの日から3年が過ぎて、まだ現実を受け入れられない私だけど、でも時間という名の薬は、少しずつ少しずつ傷口を塞いでくれているのかもしれない。それでも人前ではいつも通りの私で、バカなことを言ってはゲラゲラと笑っているが、一人になると虚しさと孤独感で無気力になっていた。何もしないでボーッとしている時間が多かった(でも、このブログとか『木霊』のフォトエッセイなど、自分の仕事はきちんとこなしていた……と思う)。
一人でボーッとしていると認知症がやって来るみたい。物忘れが酷く、元々豊富でない知識も消え始めていることに気が付いた。まァ気が付くだけまだOKかな?
思い返せば、たぶんストレスの反動なのか、やたらと無駄な買い物をしたりしていたものだ。いまは「何でこんなもの買ったんだろう」と、着もしないセーターや使いもしないバッグなどの処分に困っている。勿体ないことをしたものだ。
このところ少しずつ自分を取り戻し、春と一緒に訪れる初夏に慰められたりして、どこかに出かけようかなと思ったりし始めたのに、右肩上がりのコロナの感染者数でまたボーッ!。
そんなこんなで、このところ私はちょっと、いやかなり体調を崩してヨレヨレだったのだけど、医療従事者の方々のことを思うと「この程度では……」と病院にも行けず、グズグズしているうちに治ってしまった。
大型連休は県をまたぐような旅行は控えてと言われているのに、軽井沢の広くもない道路は、コロナ以前のような渋滞ぶり。東京ナンバーや近県のは勿論、九州ナンバー中国ナンバーがゾロゾロで地元ナンバーはチョロチョロ。
これでまた医療従事者の方々の負担が増え、自粛生活が長引くだけだと、私の虚しさがちょっとぶり返していた。