内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
愛しい動物たち
2021.5.23 Sun
昨夜防犯カメラがパッと作動したので、何やら怪しいヤツ……とスイッチを入れると、タヌキが我が家の庭を横切るところだった。その前はキツネだった。
朝、点検すると、毎晩のように彼らが我が家の庭を横切って行く。
タヌキはトンマな顔をして、キツネは油断のならない顔をして、ネコはコソコソと庭の段々を下りて行く姿がおかしい。先日は真っ昼間に堂々とカモシカが横切っていたし、我が家の庭はどこかに行くための近道なのだろうか。
森に棲む動物たちの、夜のサミット会議でもあるのかもしれない。なんというファンタジーだ。私にそんな空想力が残っていたのもうれしい。
我が家を関所にして、通行手形でも発行したほうがいいのかな?と思ったが、心を豊かにしてくれる彼らに、逆にお支払いした方がいいのだろうか。
でもなァ、お支払いを狙ってサルが来ると困るしなァ!
リスは1日置きくらいに枝を渡ってやって来る。あれっ?何かが動いた……と、目を凝らして木々の動きを見ていると、決まってリスなのだ。キョトンとした目をしてすばしっこく、枝から枝へと渡る姿は可愛い。心が和む。
小鳥たちのラブコールは心地よいし、コロナで凝り固まった心をしばしほぐしてくれるのがうれしい……と思いながらも、あの道路の混みようは、思っただけでも鬱になりそうだ。
高齢者(私)へのワクチン接種がいつになるのか分からないし、買い物に出るのも感染が怖いし、あれこれ考えるだけで気が滅入ってくる。
でも考えても仕方のないことは考えないことにして……って言っても、やっぱり頭から離れない。私の回りの人たちの心も、何だか心が固まっているような気がしないでもない。森の中で動物たちに癒やされるだけでも、私はしあわせだと思わなくてはバチが当たる。
それにしても我が家の庭を、平気な顔をして横切って行く動物たちは愛しい。
ホント! あんたたち、毎晩どこに行くの?