内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ボケの基準
2021.7.18 Sun
最近、私の少ない知識がどんどん減っていくのを実感している。芸能人の名前だけなら生活に支障はきたさないのだけど、わりと親しい人の名前が瞬間出てこないこともあって、そんなときは「いよいよ来たか!」と切なくなる。
そしてブログやエッセイを書く時に「あれっ? 私、何を書こうとしてしてたんだっけ」だの、時事や現象を表現する言葉も出てこない。漢字だって読めるのに書けなくなったりして呆然として、トシだから……と片付けるのもちょっと辛い。ホント! 簡単な漢字が、大体の形は浮かんでいるのに書けないときは、苛々として情けなくなる。
夫はいつ何を聞いても答えてくれたのに……。どんな頭をしていたのだろう。
調べてみた。
朝ご飯のメニューを思い出せないのは『加齢による脳の低下』で、朝食を食べたかどうかを思い出せないのが『認知症』なのだそうだ。
そして昔のことは覚えているけど最近の出来事を忘れているのは『アルツハイマー』。
私、昔の出来事はかなり覚えている。そのときの映像も目の裏のスクリーンに、映像と台詞まで残っている。だからこの『早坂真紀つれづれ』にだって、昔のことはよく書いている。
それなのに足りなくなった日常品をメモにして買い物に行ったのに、メモ用紙を家に忘れている。そして何を買うのだったかも思い出せない。挙げ句の果てに本当に必要だったものを忘れ、余計なものを買って帰るのだ。
心配になった。私はアルツハイマーか?
最近アルツハイマーの進行を遅らせる薬を見つけたとか。
早く販売してくれ~ッ!