内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
新種
2022.2.20 Sun
鹿児島県出水市の干潟で、体長が1.3ミリの新種の甲殻類が見つかったそうだ。
鹿児島大学の上野准教授がハゼの仲間の魚の尾びれにかじりついていたのを見た時、NHKのみんなの歌の 『おしりかじり虫』のメロディーが浮かび、『オシリカジリムシ』と命名したのだとか。
まだ1個体しか見つかっていないけど、「オシリカジリムシ科」の「オシリカジリムシ属」が新設されそうだとのこと。
オシリカジリムシだなんて、日本人でこんなに軽やかな頭の学者さんがいたことがうれしいし、それが日本で発見されたこともうれしい。いずれたくさん見つかるかも……。
何匹もがお尻にかじりついてつながっている『オシリカジリムシ』を想像して、1人で笑ってしまった。
新種といえば、地球誕生の歴史から言うと、人は猿が進化したとはいえ、人も恐竜も犬も猫も元々は生物のすべてが新種だったはずだ。
偉大な大自然の中で新し生命が生まれては滅び、滅んではまた新しい『種』が生まれる。
猿から進化したはずの『人』も、ひところ『新人類』というあたらしい『種』が生まれた。その新人類がいまでは圧倒的多数になってしまって、旧人類はコロナ菌を避けてひっそりと生きている。
そのうち『人』が滅ぶときがくるのかな?と、映画『猿の惑星』を想像してしまった。都心に乱立している廃墟となった高層ビル群。誰も乗ってない止まったままの錆び付いた電車。
新種の甲殻類からアホなことを想像して、ちょっと怖くなった。
今夜は早く寝ようっと。