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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

棄霊島……2

2022.4.10 Sun

以前、何か面白い番組はないかと、何となくチャンネルをチャカチャカしていてひっかかったのが、土曜日正午からのBSTBSの『日本近現代史』だった。
番組の冒頭で、高校の日本史で習うのは明治維新あたりまでで、日本近現代史、とくに第二次世界大戦あたりから後のことは詳しく教えてない……、というような前置きがあった。
歴史の授業は時代が過ぎれば過ぎるほど覚えなければならないことが増える。こ ればかりは早く生まれたほうが楽だと、高校時代に友人と笑っていた。「平安時代に生まれていたら、覚えることが少なくてすんだのに」と。
そしてやはり日本史の授業で明治維新のころまでのことは習ったけれど、それ以降の歴史をしっかりと習った記憶がない。大学入試で出る問題は、維新以前のことだからと端折っているのか、それとも詳しいことを教えると都合の悪いことがあるからなのかな?と思った。
番組が始まったころのことは見てなかったけど、第二次世界大戦が起きた前後のことなど、特に日本や中国・韓国・朝鮮のことなどを詳しく教えてくれた。
そういえばマレーのトラと言われた山下奉文や李承晩とか蒋介石などの名前は、私が子供の頃に両親の会話から得た知識だったような気がする。そして小学生のころ「トッキューが地に潜った」という両親の会話に、何だか知らないけど地面の下に埋まって、息が詰まるだろうなと思っていた。
後に知ったトッキューとは、日本共産党の徳田球一のことだったのだ。
話は脱線したけれど、『棄霊島』下巻の206ページあたりからの、浅見家の子供たちの会話が、日本の近現代史についてだった。
南京大虐殺や朝鮮人強制労働問題など、「自国の歴史に目を背けたくなるような事実があっても、事実は事実なのだ。それをちゃんと認識した上で物事に善悪を判断、対処……」という光彦叔父さんの言葉に、甥や姪がしっかりした考えを持っていることが分かって叔父さんは安心したようだ。
『遺骨』にしても、私は浅見家の家族の会話が好きだ。『子供は親の鏡』で、子供を見たら家庭環境が分かると、偉そうなことを言っている私だけど……、私に子供がいなくてよかった。
これが『棄霊島』を読んでの感想だなんてちょっと寂しいかも。

※うっかりしてここ2回ほど見逃していたら、『日本近現代史』は終わって『日本古代史』に戻っていた。紀元前3万年ほど昔の日本人のルーツから始まっていた。これは高校時代に見たかったなと思ったが、でもほどほどの知識があったほうが、面白いかもしれない。

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