内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ウグイス
2022.4.29 Fri
今年はウグイスの声がしないな……と思っていたら、今朝「ホーホケキョ!」ときれいな声がした。幼鳥のたどたどしい声じゃなく、立派な鳴き声だ。
うれしくなって私は声をひっくり返して鳴き真似をした。負けじとばかりウグイスが鳴いて、私はまた鳴き真似をした。
ウグイスの声がしなくなった。そして1時間ほどして庭に出ると、ウグイスの声はなかった。たぶん私に負けた!と山に逃げ帰ったに違いない。でも、ふとウグイスの立場になって考えた。……以下、ウグイスの考え。
『いい季節になったな。久しぶりに森に行ってみるか。ホーホケキョ!芽吹きが始まったじゃないか。ホーホケキョ! 気持ちいいなァ! ホーホケキョ!。
あれっ? 私の鳴き真似をしているバカがいる。ホーホケキョ! バカなヤツだ。下手ックソで気分悪い。脅してやれ、ホーホケキョ!しかし、あのバカの旦那は鳥の鳴き真似が上手かったな。思わず返事をしたくらいだった。それにしてもあのバカの鳴き真似は何だ、あれで真似をしているつもりか? 旦那はどこに行ったんだ!旦那を呼べ!旦那を……。いないのか? じゃ、気分悪いから山に帰ろう』
ってな具合かな? 悔しいぞ!
ま、とりあえず(鳥に会えないと言う意味ではない)シジュウカラやコガラの鳴き声で我慢しよう。