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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

言語

2022.7.21 Thu

スイスやイタリア国境に近いフランスに住む知人は日本人だが、フランス語とイタリア語を話す。もちろん英語と日本語も……。
国境のない日本に住む日本人は私は、日本語しかしゃべれない。世界の共通語は英語で、その共通語を私はしゃべれない。
日本が戦争に負けるまで、わが家族は中国の広東や台湾にいた。お手伝いが中国人だったので、私は片言の中国語はしゃべっていたらしい。あまりに小さかったので、みんな忘れてしまった。いまは自分の名前(旧姓の)の中国読みしか覚えてない。
ヨーロッパなど、国境が隣り合っている付近に住む人たちは、すぐ近くの隣国の人と何語でしゃべっているのだろう……と思っていたら、日本に避難しているウクライナ人を取材したテレビを見た。
ウクライナ人だから当然ウクライナ語だと思っていたら、日常会話のほとんどがロシア語だったとか。高齢者のウクライナ人でロシア語しか分からない人もいて、子供のころ唄った歌も読んでいた絵本もロシア語で、それが不思議とも思っていなっかったのだとか。
それがロシアのウクライナ侵攻以来、自国愛に目覚めてロシア語をウクライナ語に改め始めたらしい。ウクライナ語をしゃべれなかった高齢の人が、自国語と真剣に取り組み始めたと言っていた。
まず私も首都のキエフはキーウ、オデッサをオデーサと言うようになった。
日本でも明治政府が、北海道のネイティブであるアイヌの人々に同化政策と称してアイヌ語を禁止し、アイヌ文化まで否定したらしい。
いまでは若者が消えつつあるアイヌ語とアイヌ文化復活に取り組んでいると、これもテレビで知った知識だ。
テレビや交通手段の発達で、日本の各地の方言も消えつつあるのかもしれない。
東京にいると、聞こえてくるのは東京弁というか共通語だ(地方訛りは完全には消えてないけれど)。
青森弁と鹿児島弁でしゃべると、お互いに意味がまったく伝わらないそうだ。それで共通語をつかうようになったのだろうけど、関西の人はどこにいても関西弁をつかっている。自国語(?)に誇りを持っているのだろうな。

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