内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
極楽……?
2022.7.27 Wed
処理しなければならない事があって、日中の最高気温が24~25℃の軽井沢から酷暑という『噂』の東京に戻ってきた。
新幹線を降りたときはまだ、体の冷えが残っていたけれど、東京駅を出たときの暑さには参った。軽井沢の爽やかさに慣れた体には、噂に違わず東京は酷暑だった。
人がみな不愉快そうな顔をしている。たぶん私も限りなく不愉快な顔をしていたことだろう。そうでなくても私は、鏡に映るトシとった自分の顔を見ては「これは私じゃない!」とわめいているのに、それに加えて酷暑の中の私だ。不愉快きわまりない顔は、私じゃないから……と、心の中で叫んでいた。
閉めたまんまのマンションがまた不愉快きわまりなかった。サウナに行ったことはないけど、たぶん蒸し風呂とはこういう状態なのだろう。
郷ひろみじゃないけれど♪アッチッチ、アッチッチ♪だった。
冷蔵庫が空っぽなので食料品を買いに行って、欲望に負けてガリガリ君を買ってしまった。
誰も見ていないのでまたまた欲望に負けて、椅子を向かい合わせにして足を投げ出し、テレビを見ながらガリガリと冷え冷えを楽しんだ。
女もこのトシになると見栄も何も無くすのだなと反省したが、でも誰が見ているというワケじゃなし……と、極楽!極楽。