内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
週刊文春
2022.9.16 Fri
政治家や公務員・芸能人など有名人たちは、週刊文春に身のまわりの都合の悪いことを書かれることがとても恐いらしい。隠し事がバレて記事になってしまうことを『文春砲』と、巷では言われているらしい。(バレると都合の悪いことなんてしなければいいのだけど)。
例えば○○党とか○○省などと、一括りで書かれることは別に困らないけれど、個人名で書かれるとなると、ガセネタでないかぎり仕事が減ったり辞めざるをえなくなることもあるらしい。
私だって個人名で書かれると具合の悪いことは多々ある。例えば口が悪い、頭が悪い、性格が悪い、足が短い、もうババァだ等々。
その週刊文春から取材の申し込みがあったとき、私、何かした?と冗談だけど一瞬思った。しかし私ごときが何をしようと、誰も「知ったこっちゃない」から記事になるわけがない。もちろん夫に関する取材だった。
昨日9月15日に発売された『週刊文春9月22日号』に、それが載った。
取材内容を聞いたとき、「エッ?ウソ!」と言ってしまった。だって過去に取り上げた方々が『松本清張』『有吉佐和子』『菊池寛』等々で、そんなァ、畏れ多いと思ったから。
それに『内田百閒』だなんて(内田百閒と驚いているけど、高校の国語の授業で習って名前を知っているという程度で、私は実はよく知らない。だけど国語の教科書に載っているほどだから、同じ内田と言ってもえらい違いだ)。
そんな畏れ多いからと断りかけたけど、待てよ! 『内田康夫』は私にとってはタダの夫かもしれないけど、よそからみたら凄い人なのかもしれないと思った。
昨夜二度目の『透明な遺書』を読み終えた。やはりこの作品も凄い。『氷雪の殺人』もだけど、松本清張のような社会派の高度なミステリーを女性にも読めるようにして、女性のミステリーファンを増やしたのは内田康夫だと、彼の作品を読み返すたびに私自身が思っていた。だからいい意味で『週刊文春』に載る資格があるかもと、ウハウハと取材に応じた。
いい記事だった。この夫婦は仲がいいみたいと思わせる、暖かくいい記事だった。きっと編集者が優秀なのに違いない(……と、ヨイッショ!)。
宣伝っぽくなったけど、ま! 買って読んで下さい。