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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

運び屋

2022.10.22 Sat

オクトーバーフェストの続きです。
この3月にフランクフルトに住むUさんからメールが届いた。
佐久市で結婚式場やレストランを経営しているSさんという人が、商用でドイツに来てUさんに会い、Uさんが佐久市が軽井沢に近いことを知ったというのだ。
それで内田さんという人を知っているか?と聞くと、Sさんはもちろん知ってる!知ってる!で(まァ!、内田康夫はこの辺ではたぶん有名なのだろう)お土産を頼んだそうなのだ。
それで帰国したSさんがことづかった本場モンのテディベアを、ティーサロン『軽井沢の芽衣』に私に引き渡しにきてくれた。
おしゃべりが弾んでSさんが「Uさんから、内田夫人は楽しい人だと聞いていましたけど、本当でした」って。会うまではちょっとビビっていたらしい。私って怖そうに見えるのかなァ、面白い人なのかなァ?
Sさんが10月にまたドイツに行くと言うので、今度は私がSさんを運び屋にすることにした。
以前、拙著『夜想曲』をフランクフルトに送ったとき、1,800円の本の送料が2,000円以上だったので、渡りに船で夫の本をお願いしたのだ。
『ブツ』の引き渡し場所は佐久市のSさん経営のフレンチレストラン『ブランカン』。
鄙にはまれというのか本格的なフレンチで、軽井沢の別荘族が、わりと利用しているようだ。気がつけば私は、ほぼ8年ぶりの正式な外食だった。
8年かァ! 夫の介護が始まって夫を見送って……。なんだか夢を見ていたような時間の流れだ。
もしかしたら、またUさんから『ブツ』が届くかなと、そのときは引き渡し場所はブランカンがいいかな?なんて卑しいことを思っていた。
Sさんを運び屋にして日本とドイツの間で『ブツ』が行ったり来たりって、楽しいかも。
ドイツかァ! あれッ? ハイデルブルク大学の前を通過したのは、ワールドクルーズのときではなく、ミュンヘンやフランクフルトに行ったときだったのかもしれない。年齢のせいか記憶が曖昧になってきたようだ。
でも胸キュン以来YouTubeで、『学生王子のセレナーデ』を何度聞いたことか。DVDの『The Student Prince』を買ってしまったし……。

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