ブログ

HOME > 早坂真紀つれづれ

内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

温暖化

2023.2.4 Sat

地球温暖化が叫ばれて、夏は信じられないほど暑くなった。
私が軽井沢に移った40年ほど以前の、夏の最高気温が28℃ほどだった。西日の当たる夫の書斎はさすがに暑くて、クーラーを設置して笑われたものだ。
冬の日中の最高気温がマイナス7℃という日もあった。知らずに洗濯物を干そうとベランダに出て、『冷凍洗濯物』にしてしまったことも懐かしい。
しかし最低気温がマイナス15℃~20℃という日が一週間続いた時は、さすがに軽井沢移住は失敗だったかなと思ったこともあった。
それでも寒い冬が春夏秋冬のひとつなのだと思うと、冬もまた楽し……だったかな?
それなのに今は軽井沢の夏は32℃にもなり、クーラーのあるのが当たり前になった。そんな時でも森や林の中に入るとヒンヤリしているのは、さすがに自然は偉大だ。
冬だって今は日中にマイナスになる日はあまりなく、マイナス15℃なんて滅多になくなった。
やはり地球は壊れかけているのかもしれない。
コロナ騒ぎでテレワークが当たり前になり、軽井沢への移住者が増えた。冗談だろうけど「売る土地がない」と笑っていた人もいた。ティーサロン『軽井沢の芽衣』あたりの森も、今は木を切り整地して分譲宅地になっているので、あながち冗談とも言えないのかもしれない。
『軽井沢の芽衣』でお茶を飲んだあとに裏の森に入って、涼やかなマイナスイオンを浴びて「天国! 天国!」と言えないときが来るのだろうか。涼をクーラーに頼る時が来るのだろうか。
そう思ったら、やはり『軽井沢の芽衣』の裏の『妖精の棲む森』は大切にしなければと思った。
手つかずの原生林。たった二千坪の森だけど、老木の生命が尽きて倒れ、そのおかげで太陽の日差しが大地に届き、そのおかげで新しい生命が芽吹き……と、私の夢が限りなく貴重なものになる時が、すぐ近くまできているのかもしれない。

« 

2023.2.12 Sun きらめき

 »

2023.1.27 Fri 日の出、日の入り