内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
置き忘れてきたもの
2017.1.4 Wed
WOWOW で『リトルプリンス 星の王子様と私』という映画を見た。途中からだったのでストーリーは イマイチだったけれど、『星の王子様』をこんなふうに……と、ふと私は何かをどこかに置き忘れてきたことを思い出した。
そう! 『空想力』と『夢想力』だ。
私の学校での成績が悪かったのは、授業中であろうと休み時間であろうと、いつも夢をみていたからだ。それなのに私から『空想力』と『夢想力』を取ってしまったら、ただのおバカになってしまう。ただのオババになってしまう。
言い訳はたくさんある。仕事が忙しかっただの、夫の介護に疲れているだの……。
鏡を見たら、そこにはやはりオババがいた。嫌な顔をしていた。
イカン!イカン! そこで考えた。
仕事が忙しい……って、主婦業以外の仕事をこなせるって、凄いじゃない!
夫の介護をするようになって、介護をするということがどんなことか、その立場になってものを考えられるようになったじゃない。街で困っている人に、自然に手を差し出せるようになったじゃない。
『空想力』が何だ! 『夢想力』が何だ!
でも、今年の努力目標。やっぱり元の私に戻りたい。仕事をしながら、夫を守りながら、うっとりと漂う時間をつくろうっと。それは気持ちにゆとりを持つということ。
そして、童謡にしても童話やファンタジーにしても、それは大人が書くものだってことを忘れないようにしよう。