内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
上品?
2017.1.10 Tue
外出するために乗ったエレベーターの途中から、小学校2~3年生くらいの女の子が乗ってきた。黒いリュックを背負って、ピンクの可愛らしい服を着ていた。
こんにちは……と挨拶をしたから「学校なの?」と聞いた。彼女は目を見開いて「あら! こんな格好で学校にいくはず、ないじゃありませんか」と、こまっしゃくれて、小生意気そうに言った。「そうね、リュックですものね。どこの学校?」ときくと、ツンとして(私がそう感じただけかも)「守秘義務というものがあります」だって。
嫌なガキ! 私はただ住人として、社交辞令で聞いただけだ。
そして「ママから、知らない人にベラベラしゃべるもんじゃありませんって言われてますから!」と、一階についてドアが開くと、一目散に走って行った。
嫌なガキ! お前なんか、だれが誘拐するものか。
以前同じエレベーターに乗り合わせた、クリ拾いから帰って来たという女の子とはえらい違いだ。
エレベーターの中でクリのイガを剥く格好をして、そしてクリを一粒くれた女の子はエレベーターを下りるとき「さよなら!」と行った。
あの女の子ならまた出会いたいけれど、小生意気なお前なんか誰が!
二人の少女共それなりに品はあったが、比べてみるとクリの少女の方がむかしからのハイソという雰囲気があった。
品格って、時間とともに自然に身につくものだから……。本物になるには三代かかると言うし、そうか! 私には子どもがいないから、永遠に品がないままに終わるのか。切ないな。