内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
うれしいな
2017.4.24 Mon
このところ私の身辺は、かなりインターナショナルだ……と言っても、私が外国語をしゃべるわけでもなく、外国人と付き合っているということでもない。
先にフィレンツェ在住の友だちが、そして今度はシャモニーとフランクフルトに住んでいる友だちが、続けて夫のお見舞いに来てくださった。
早く帰国(彼ら、いや彼と彼女たちの場合は日本人だけど、外国に住んでいるから来日?)してお見舞いをしたかったのだけど、仕事の都合でなかなか時間がとれず、やっと来られたとニコニコ顔だった。
簡単に来られるところではないのにと、私は大感激。「持つべきは友」とその気持ちがうれしい。
ワールドクルーズの途中で合流して遊んだときのことを、夫は懐かしそうに話していた。その時々のエピソードは、しっかりと頭の中に入っていたらしい。
初めてのクルーズのときベネチアの港で、イタリアのNHKのようなテレビ局クルーに囲まれてインタビューを受けた後、ローマでとんでもない出来事があったこと(『ふりむけば飛鳥』徳間文庫P106参照)。
『遺譜 浅見光彦最後の事件』の取材やノイシュヴァンシュタイン城に行った後、ルートヴィッヒⅡの入水した湖に行ったり、彼の眠る棺のそばに行ったりと、懐かしいむかし話で時間を過ごすことができた。
それもこれも彼らのお世話があったからなのに、夫が倒れたと聞いて早くお見舞いを……と、ずっと心が乱れていたのだそうだ。
こんな時だからこそ、人の情けや思いやりが心に沁みる。ほんとうにありがたくうれしいことだ。