内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
虫無視
2017.5.8 Mon
さすが軽井沢! これだけは、さすがの軽井沢でも変わりようがなかったか!
5日の日に久しぶりの家に入ったら、部屋のあちこちで虫の乾燥死骸のお出迎え。時々お掃除や風通しをしてくれているはずなのに、虫たちは大自然がお好きらしい。留守だと思って勝手に他人の家に入り込んで、人生(虫生?)を全うしているなんて図々しいヤツだ。
私が帰っていることに気づかないのか、いつの間にか入り込んで床を這ったり、壁を伝っているドジなヤツもいる。
それは『飛んで火に入る夏の虫』だ。いつも私の一撃でジ・エンド。
虫といえば、夫は大の怖がりだ。コオロギのような小さな虫でも出ようものなら、ゴジラが来たのかと思うほど大騒ぎをして、これでは人間が死ぬぞ!と思うほど殺虫剤を吹きまくる。そしてその死骸を、片付けるのはいつも私の役目だ。あんな虫はスリッパのひと叩きで終わるのに。殺虫剤をあんなに吹きまくって、からだにいいわけがない。
夫は子供時代は緑豊かな地方で暮らしていたはずなのに、何であんなに虫を怖がるのだろう。それになぜ軽井沢 の森の暮らしが気に入っていたのだろう。
虫が生きているから人間も、暮らしていけるのに……。害のない虫は無視すればいいだけ。
夫は、軽井沢に帰りたくて頑張っている。でも虫が住めないような軽井沢には連れて帰れないよ。
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