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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

避難袋

2017.7.24 Mon

東日本の震災から6年半近くが過ぎた。その後も熊本地震や今回の九州や各地の大雨による被害などを見て、ほんとうに心が痛い。
そこに住む方々がいったい何をしたのよ! 何も悪いことなんてしてないじゃない! 毎日を一所懸命に生きているのに! と叫びたいほどだ(いや! 私はテレビの前では喚いている)。
災害の度に思い出すのは、「非常時持ち出し袋」だ。東日本の震災の後、私は夫と私の車に一袋ずつ、家の中にも何個か用意した。そしてそのまま忘れていた。
ペットボトルの水は古くなるから、いざというときに入れればいいと抜いたままだし、乾パンの缶詰ももう賞味期限は切れているだろう。
人間って……というより私は、すぐ踊りすぐ忘れる。まァ、人間は忘れることができるから生きていけるというけれど、災害に対する諸々も、のど元を過ぎたらやはり時間とともに忘れてしまうのだろうな。
冬になったら夏の暑さを忘れて「寒い寒い」と文句を言い、夏になったら冬の寒さをわすれて「暑い暑い」と文句を言う。
干ばつになったら水のありがたさを思い出し、水が豊富だったらジャージャー流すし……。
戦争になったら平和を願い、平和が続くとまたぞろ不穏な……って、人間は困った生き物だ。
それにしても、「非常時持ち出し袋」をちゃんとチェックしなくては。

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2017.7.29 Sat 涙

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2017.7.19 Wed ねじれ…2