内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
お誕生会
2018.2.11 Sun
2月10日は浅見光彦のお誕生日ということになっている。何年のというのは不明で、33年前の……ということだ。ちょっと笑ってしまうけれど、そのうち浅見は平成生まれということになってしまう。そのころにまだ読書をする人が大勢いればの話だけれど。
それで昨日は33回目の浅見のお誕生会が、『浅見光彦記念館』で催された。
お誕生会といっても何をすることもない。ただ集まってガヤガヤするだけですと、聞かされていた。そして「この雪ですし、お客様が1人もいらっしゃらないということもあり得ます……」とも。
暗に「私に来てくれればうれしい」と、内なる声も聞こえる。
夫のこともあるし、どうしようかな? 天気予報だと10日から11日にかけて東京は雨か雪になるという。「もし雪になって列車に閉じ込められたら、夫をどうしよう」と、心配性の私。
でも昨日、東京は青空ではないか。これなら雪が降るまえに帰って来られると、東京駅に向かった。
なにッ!この混雑! 自動切符売り場の行列の後ろに並び、私の番が来て、なにッ!満席! 予定していた列車は取れず、1時間後の臨時列車のグランクラスをゲット。
何と! もちろん家族づれだけど、小学生くらいの子どもも何人もいる。こんな小さな時からグリーンもいかんがグランクラスもいかがなものかと、貧しかった子ども時代を過ごした私の僻み根性がムクムク。
気がつけば、世の中は3連休の初日だったのだ。
軽井沢は寒いと覚悟していたせいか(何たって今の私はシティーガールで、寒さに対して体がヤワになっている)、ホームに下り立つとわりと暖かい。いつ雪が降るのだ……と思うほど空も青い。
誰もいない記念館を覚悟していたのだが、10日の朝に私の新しいエッセイが公開されていたので、「多分今日は来ないと思っていました」と、思いの外集まっていた会員さんたちに喜ばれて、やっぱり来てよかった。
ただお茶を飲み、年甲斐もなくキャーキャー騒いで、また臨時列車で帰京。グランクラスの乗客は4人で、平均年齢は70~80代。私が文句を言う条件はゼロ。よかった、よかった。
日帰りでは疲れるだろうからと、今日も夫を看てくれている友人Cに感謝。
持つべきものは友人と会員さんだ(ヨイショ!)。
今日も雪はおろか雨の降る気配もない。