内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
自然破壊?
2019.9.12 Thu
軽井沢 に移って、36年以上が過ぎた。
あの頃、空が白み始めるともう我慢ができないとばかりに、小鳥たちは騒ぎ出していた。
ピーピー、チチチチ、ピッチョピッチョ、ピッちゃんピー等々、うるさくてうるさくて眠ってられない。
「うるさいなあ! もう少し寝かせてよ」など、ブツブツと文句を言いながら、またトロトロと眠りを貪るあの幸福感。
それが最近、森の中から小鳥の声が消えた。全く消えた。
原因は何だろう? 地球温暖化の影響? 家を建てるために、やたらと木を切り倒しているせい? 人間がいるせい? 森の中の町だった軽井沢も、最近は町の中にある森化しているような気がする。
私たちが軽井沢に来た頃、家を建てるために切り倒した木と同じくらいに植樹するように……と指示されたと思う。それが最近は、建設するのに邪魔だからとばかりに木を切って、そのまま空き地になっている所を見かけることもある。
その度に私は「ダメでしょ! 人間がそこにいるだけで自然を破壊しているのだから、自然に遠慮しながら生活しようよ」とブツクサ。
車にしても電気にしても、便利さの中に生きている人間の存在自体が自然破壊なのだなぁ、小鳥の声が消えた原因は私にもあるのだなぁと、ちょっと良心が痛んだ。