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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

ファンタジー

2019.11.23 Sat

カラマツにカラマツタツタが、赤く燃えていた。
軽井沢の木々は秋を迎えようと、いま正に準備をしている最中なのに、お向かいのカラマツにカラマツタツタは、早々と燃えていたのだ。
町の中がどんなに都市化しようと、別荘地内の都市化はかなり遅い。
コンビニはないし、第一夏が終わるとひっそりと静まり返って、夜になると真っ暗暗だ。鼻をつままれても分かりはしない。
そんな真っ暗暗の道を行く車はセコムか怪しい人か、秋を楽しみたいと仕事が終わってから東京を出た人くらいだろう。時折走り抜けていく車のライトに照らし出される森の木々は、ファンタジーの世界だ。
以前、夜遅くに夫と帰ってきたとき、私たちの車のライトに反射して、キツネの目が白く光っていたこともあったな。ファンタジーだな。
私の住む別荘地の森と我が家は、セコムが管理している。
2週間ほど軽井沢を留守にしていた時、セコムから連絡が入った。「家の中のセンサーが反応したので調べましたが、人間が入った気配はありませんでした。何か小動物だったのかもしれません」とのこと。
そう言えばむかし、夫と並んでテレビを見ていたら、目の前を何かがチョロチョロと走り抜けたことがあった。「ネズミ?」。
それで多分、我が家に入り込んでいたその小動物は、秋を迎える準備をしていたネズミだろうということになった。
ネズミごときに反応するなんて、セコムは凄い。『追いコム、突っコム、後ろにセコム』だっけ? 民放でラグビー放送中のセコムのコピー。いいコピーだな……って感心している場合ではない。
ネズミは『防犯カメラ作動中』の、玄関の文字が読めなかったのだな。
この間チョロチョロしていたリスにも、教えておかなくては……。あそこン家の防犯カメラ、しっかりしているよ!って。これはファンタジーだな。

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