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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

サンニンシズカ?

2022.6.27 Mon

軽井沢の森の暮らしも、もう39年過ぎた。山野草の種類もかなり覚えた。
夫が健在のときはタラの芽や蕗のとうを摘んできて天ぷらにもした。私はからだが油を受け着けないので天ぷらは食べられない。それで『お一人様』用の天ぷら鍋を買ったりしていた。
摘んだばかりの山菜の天ぷらにちょこっと塩をかけて食べると、最高なのだそうだ。しあわせそうな顔をしている夫の前で私は……、何を食べたか覚えてない。
残った蕗のとうで蕗味噌を作り、成長した蕗をキャラブキにした。
料理はおいしいと食べてくれる人がいるから料理をするのであって、自分のためになんて料理はしない。
いまではお惣菜を買ってきてお皿にも移さずパックのまま。だって洗剤と水の節約になるじゃんって、自分に言い訳するだらしなさだ。
それはさておき、今年の森は『ヒトリシズカ』の当たり年らしい。我が家の庭にも散歩の道すじにも、かなり咲いている。
寄り添った4枚の葉の中心から伸び上がった一本の芯に、白い花が可愛い。
ちょっと体調を崩した(大したことない)私を心配して、大阪から車をとばしてやって来た妹と森を歩きながら「この芯が一本なのがヒトリシズカ、二本のがフタリシズカ」だと、私はうんちくを傾けていた。
すると妹が「三本だとサンニンシズカって言うの?」と聞くから私は言った。
「サンニンで静かなワケないじゃない。それでね『うるせえ!黙れ!』って言うの」と、二人でゲラゲラ笑った。妹は私のジョークが理解できたみたい。
庭のエゴの花の真っ盛り。エゴの蜂蜜は高級なのだそうだ。我が家にはエゴの木が二本ある。養蜂業に転向しようかな?と思っているこの頃だ。

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2022.6.21 Tue 美人薄命