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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

石橋あれこれ

2022.9.13 Tue

先日読み終えた光文社版(*)の『小樽殺人事件』。何本かの後ろ髪を引っ張られているような気がして(ベリーショートの私の髪を引っ張るのは、大変だと思うけど)、書棚に戻した本を引っ張り出した。
あった!あった! 227ページの端を折ってあるではないか。
浅見が麻衣子に対して言う台詞で、『人間の意志というのは、そもそも行動することを前提にしてはじめて意志といえるというのです。そうでなければ、ただの思考であり、せいぜい願望でしかない……』云々。
そのとき私は、今までの私の夢はただの思考で、単に思っているだけだったのだと思った。その点、夫は意志はすぐ行動に移していたし(意志を行動に移すのは、往々にして私を媒体にしていたけれど)、私の思考は橋の向こうにあるものを、ただボケーッと見ていただけなのだと。
それで私や友人知人たちは、次のどれに当てはまるのだろうかと挙げてみた。

1 石橋を叩いてから渡る。
2 石橋を叩きもしないで渡ってしまう。
3 石橋を叩きながら渡る。
4 石橋を叩いても渡らない。
5 石橋を叩きもしないし渡ろうともしない。
6 石橋を渡った人をみてから、橋を叩きながら渡る。
7 石橋を渡った人をみてから、自分も叩いてみるけど渡らない。
8 石橋を他人に叩かせて、他人を渡らせる。
9 石橋を他人に叩かせて、自分が渡る。
10 石橋を渡ってから叩く。

いろんな友人知人がいるものだと、顔を思い浮かべるだけでも楽しいし、私の反省にもつながる。けど私は思考はまだいっぱいあるけれど、行動に移すにはあまりに年齢を取りすぎた。


(*)事務局注:光文社文庫新装版

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2022.9.7 Wed マダニ