内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
無題
2022.11.3 Thu
○スポーツの種類はたくさんあって、そのスポーツの代表になったり職業にしている人のことを、野球選手・サッカー選手などと称んでいる。
それなのになぜ相撲取りのことを相撲選手とはいわず、『お相撲さん』と称ぶのだろう。おまけに『お』と『さん』と、二重に敬称をつけているなんてヒイキ。
『お野球さん』だの『おサッカーさん』『お槍投げさん』なんて聞いたことないよね。
○演歌の歌詞や時代劇では、恋人同士や夫婦の間で相手を呼ぶとき、女性からは「あなた!」と呼んでいるのに、なぜ男性は「おまえ!」と言うのだろう。それって男尊女卑じゃない?と思うけど、女性は怒るどころか「ねエあなたァ」なんて鼻声で応えている。「おまえ!」と言われてムカつかないのかな?
いまの時代、妻に「おまえ!」なんて言ったら、ぶっ叩かれるかも。
私たちは……、まず私は夫に「あなた」なんてと言ったことないし「おまえ」なんて言われたこともない。
以前人混みの中で、前を行く夫を呼ぶとき私は迷った。あなたァ!なんて言ったら不特定多数の人が振り返るだろうし、だいいち私は「あなたァ!」なんて気恥ずかしくて口にできるわけがない。「ヤスオさーん?」。絶対「やめろよ!」と無視されるに決まっている。それで私は「内田さーん!」。
見事に夫は振り返ってくれたけど、近くにいた人が「エッ? お二人はご夫婦じゃないのですか?」って言われた。
じゃ、私たちはおたがいに何と呼んでいたか……、それはヒ・ミ・ツ。
○トラック競技の女子選手はなぜビキニみたいなユニフォームなのだろうと、テレビで女子の陸上競技を見るたびに思う。他の競技はちゃんと上半身を包むシャツに、短パンをはいているのに、みんなおへそを丸出しなのだ。それにハイレグの選手だっている。
おへそを出すとお腹が冷えてお腹を壊すし、雷さまにおへそを取られると子どものころ親に教えられた。
だから私は、陸上の女子選手の身体を心配している。