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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

青春

2022.12.21 Wed

書庫を整理していたら、高校時代の文芸部の部誌が出てきた。小説、詩、エッセイその他、100ページくらいの、結構しっかりしたものだった。背伸びしているのか、町で見かける今どきの高校生より、ちょっとおませだったかも……。
私は文芸部に所属していて小説らしきものや詩を書き、放課後に編集会議をしたり原稿集めなどをしていたのだった。
表紙の絵や挿絵は美術部のOクンで、後に彼は美大の教授になっていた。あの原画はどうしたのだろう。返したのかな? 惜しいことをした。
そして雑記帳のようなノートも出てきた。
部誌はともかく、雑記帳に何を書いていたのか記憶になく読み始めた。大掃除のときの畳の下に敷いてあった新聞を読み始めたときみたいに、時間が経つのも忘れた状態だった。
笑ってしまった。そして若さって可笑しくも切ないなァと、でも「これぞ青春!」と胸キュンだった。
私が、一丁前に人生について悩んでいたの……か?
『何で私は生まれてきたのだろう。人間はどうせ死ぬのに、何で生まれてくるのだろう。生きているあいだに、何をすればいいのだろう。死ぬまでの、タダのヒマつぶしをしているだけなのだろうか?」だなんて、授業中は居眠りをしているか妄想に耽っていただけの私が、こんなことを考えていただなんて。
『大学になんて行きたくないのです。みんなが行くから行くだけなのです。見栄で行くだけなのです』だなんて、大した大学に受かりもしないくせに笑ってしまう。
だって、私の成績は下から数えたらすぐ行き着いていたのだ。それなのに、なんでカッコつけているのだ!とおかしい。
それって、本当に悩んでいるのではなく、それこそヒマつぶしに悩んでいるつもりになって書いていただけなのだろう。それが若さってものなのかもしれない。
青春かァ! 
我が校のサッカー部は「試合に出ると負け!」だったし、文化祭の時の弁論部は何を演説しているのか、私には分からなかったし、ダンス部の発表作品の『白鳥の湖』の衣装はトレパンだったし(県立だから仕方ないか!)、それでもみんな青春していたのだなァ!
詰め襟とセーラー服の青春真っ盛りも、いまではもうご先祖さまになったり、そうとうなジジババをしていることだろう。

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