内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
青春……Ⅱ
2022.12.27 Tue
私が通った高校の普通科は、一クラス男子30人・女子20人だった。
体育の授業は二クラスが一緒で男女が別れる。3年のとき私はB組だったからA組と一緒で、その日の授業はフォークダンスだった。
フォークダンスだと知って、普段は大学受験に関係ない授業はサボって、図書室で勉強をしている男子も出席していた。もちろん欠席者は男女共ゼロだったらしい。
二クラス一緒だから男女の比率は60対40。それで二重の輪になって女子が外側の左回り男子が内側の右まわりになって行進し(逆だったかな?)、先生がホイッスルを吹いたところで止まる。そして止まったときに隣りあった男女が手をつないで、余った20人の男子の半分が女子の役目をするのだ。
すると女子の役になった男子が「チェッ! 女子と手をつなげると思ったのに……」。
『ワラの中の七面鳥』その他。女子役の男子は、授業が終わるまでずっと面白くなさそうな顔をして男子と手をつないでいたっけ。
せっかく図書室をサボってきたのに(ちゃんと授業を受けたのに……かな?)、残念な青春だったね。残念だった男子が、女子と初めて手をつないたのは、その後いつなのだろう。想像するだけでも可笑しく切ない青春だ。
私がひそかに胸キュンだった男子はC組だったので、やっぱり残念な青春だった。
♪ぼくらフォークダンスの手をとれば♪って、女子と手をつなげなかった男子に対する嫌みかも。